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武田軍の足軽大将リューザキ弾正、通称リュー弾♪またの名をカラボリーナ・ドルイスカヤ(爆)最近、草弾師匠という官位(笑)も授かりました☆ 諸国、諸時代、諸かるちゃーを 徒然なるままへめぐります


by リューザキ弾正
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お盆特集その1 一筆啓上夢想が見えた~沖雅也さん特集~

本当は、こちらは、「その2」だったのですが、「その1」がまとまらずに、早くのアップと相成りました。

tvkで、「必殺仕置屋稼業」の再放送が始まりました。
「新・仕置人」と個人的には双璧をなす傑作と思っております。(・∀・)イイ!!
「仕置人」は創世期らしく、定まらない設定、あやふやなストーリー(爆)
まあ、その荒々しさが「仕掛人」共々のトップバッターの勢いの魅力でもありますけど。
ストーリーや設定、それと共に、エロも・・・私は苦手だったりします。

さて、一番の傑作というのが、思い出補正が入っているのか、
これから半年をかけて、「仕置屋稼業」を再視聴して確認して参ります。

第1話、さっそく藤田まことさんと対等に渡り合っておりますが、
当時、まだ23歳の沖雅也さん。風格があります。
老成という言葉は、無礼でしょうか?沖さんにとって。

沖雅也さんは、その衝撃の最期ばかりが、語られてきました。
また、プライベートのごく一面ばかりが注目されてしまいましたが、
最近では、特異な存在感があった役者として再評価の機運があります。

日活に入って、末期の映画界で不遇をかこって、その後、松竹に移籍。
テレビのティーン向けドラマで注目を集め始め、
「必殺仕置人」の棺桶の錠役に抜擢されます。
ちょっと、待った!!!
「必殺シリーズ」と因縁の(笑)「太陽にほえろ!」
沖さん、実は、こちらへの出演の方が早かった。
マカロニ刑事時代の「太陽にほえろ!」第10話にメインゲストで出ております。
七曲署資料室によると、予告で「あの沖雅也出演!」とコールされたそうです。
桃井かおり、沢田研二。当時、大評判になったトップスターの出演時にも、
予告に名前が出ていないのに。初期でこの待遇を受けたのは、かなり異例だったとか。
当時、予告に俳優名が出てきたのは、他には、近藤正臣さんぐらい。

ま、その後、前述のとおり、必殺シリーズでの活躍が始まります。
直情的で熱血正義漢のため、主水や鉄を巻き込み、「仕置人」という稼業を
始めるきっかけを作ったのが、沖さん演ずる、棺桶の錠でした。
沖さんのキレキレのアクションは大迫力でした。
この時、沖さん、21歳。今年、必殺デビューした知念クンと1歳しか違わない・・・

その後、中村主水シリーズの骨格が完全に出来上がった作品でもある、
「必殺仕置屋稼業」に、クールな一匹狼の殺し屋、市松で出演。
棺桶の錠とのキャラの違いに、驚愕したものです。
市松の耽美的な趣きは、沖さんでなければ生まれえなかったでしょう。
殺しのシーンでは、ほとんど瞬きをしない、その役者根性も特筆です。
一人無双のアクションキャラの棺桶の錠と、お耽美な二枚目殺し屋市松。
秀と勇次。政と組紐屋の竜。必殺を印象づけるこのコントラスト。
この両方のキャラの創始者がたった一人、沖雅也という人だったのです。
京本政樹さんは、市松のビデオを見まくってキャラの造形をしたそうです。

その後、念願だった「太陽にほえろ!」にスコッチ刑事として出演。
「太陽」にとっても、それまで「新人刑事」の加入が定石でした。
それが、ある程度キャリアがある人物が転勤して来る、という
今までにないパターンの挑戦でした。
ちなみに、必殺スタッフは、「(沖さんを)盗られた!」と怒り心頭だったとか(^^;)

役柄上、打ち解けた雰囲気の七曲署のメンバーと離れて孤独を貫いた24歳の沖さん。
青春ドラマ時代から、彼を知っていた岡田プロデューサーは、
彼は、本当は、明るく気さくで面白い人だと知って欲しくて、製作したのが、
沖さんも、一番自分に近いと認めている、「俺たちは天使だ!」でした。

孤独を貫き、人に容易に混じらない部分と、陽気で人を和ませる部分。
共演した方々は、気さくさと、打ち解けなさの両方を感じ取っていたようです。
生真面目にすべてに完璧であろうと努力し続ける姿も。

31歳の時、沖さんは自ら命を絶ってしまいます。
必殺シリーズの山内プロデューサーは、「人間は死ぬとき、今までの人生を
走馬灯のように思い出すと言います。彼も『必殺』のことを思い出したかもしれません」と、
追悼の言葉を述べました。

太陽にほえろ!の岡田プロデューサーは、スコッチ刑事登場編の思い出を語ります。
新宿中央公園の陸橋から、ノースタンドで挑んだ3メートルジャンプ。
(スーツに皮靴で、ですよ。しかも、着地点はアスファルト)
松田優作さんを間近に見ていた太陽スタッフさえ驚嘆させたアクション。
伝説の3メートルジャンプに対して、既に人気作品として安心感に浸っていた
プロデューサーに、「そのようなアクションに挑んだ彼の姿に、身の引き締まる思いがした」
と、言わしめた、沖さんの打ち込み方でした。

必殺シリーズのカメラマン石原興さんも、並のスタントマンよりよっぽど格好よく、
アクションを決めれたと証言しております。
カットの声がかかると、自分(石原)の元に必ずやってきて、
カッコよく撮れたか聞きに来るけど、それは、自分がカッコよく映っているかではなく、
面白いシーンになったのかの確認であったと、石原興さんは述懐してます。

懸命に演じるからこそ、抱えるものも大きく重くなります。
どこかで、息抜きが出来る性質なら良かったのでしょうが・・・
岡田Pは、番組の低迷脱却のために画策した「スコッチ再登場」が、
結局、悲劇の大きな引き金となったことも嘆いていました。
最近見た、某サイトで、「太陽にほえろ!」終盤期の、露口茂さんのインタビューで、
「ドラマの外で起きたことの方が重いドラマだったりします。沖くんのこととか」
と、ありました。

沖さんが生きていらっしゃったら、渋い紳士になっていたと思います。
そのような沖さんが演じるドラマを見たい気もしますが、
残された作品の数々に、沖雅也という、ワン・アンド・オンリーな役者の
存在が刻印されているだけで、良しとしなくてはいけないのでしょうね。

沖さんが出演を果たせなかった作品を、もし沖さんが出演していたら、と思わないことも
ありませんが。
たとえば、「戦場のメリークリスマス」
戦メリは、緒形拳、沖雅也、ロバート・レッドフォードが最初の構想だったとか。
(・・・て、何気に、仕事人大集合みたいですけど)
とことん、映画には恵まれなかった沖さん。
そして、NHKの大河ドラマも、オファーがあったものの、縁がありませんでした。
「黄金の日日」は、(たぶん)根津甚八さんの演じた役。盲腸だったかでキャンセル。
そして、もし自ら命を絶っていなければ、「徳川家康」で、真田幸村を演じるはずでした。

アクションが出来て、時代劇の所作が出来て、三つ揃いのスーツが似合ってしまう。
コメディもシリアスも出来た、超絶二枚目という存在が、御存命で、
無事に還暦を迎えた時、どのような可能性があったのか。
考えても切ないことを、ふと思ってしまう、この時期でございます。
by salieri777 | 2014-08-15 23:44 | 徒然なるままに一言