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武田軍の足軽大将リューザキ弾正、通称リュー弾♪またの名をカラボリーナ・ドルイスカヤ(爆)最近、草弾師匠という官位(笑)も授かりました☆ 諸国、諸時代、諸かるちゃーを 徒然なるままへめぐります


by リューザキ弾正
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小説「ULTORAMAN MEBIUS ~ANDERES HORIZONT~」感想記事 [訂正あり]

小説「ULTORAMAN MEBIUS ~ANDERES HORIZONT~」感想記事 [訂正あり]_f0182920_23182938.jpg


・・・すまん。また、コレだ。

「ULTORAMAN MEBIUS
 ~ANDERES HORIZONT~」作 朱川湊人(光文社)





ウルトラマン好きの、直木賞作家朱川湊人氏は、好きが高じて、

「ウルトラマンメビウス」の脚本を3本執筆します(賛否両論でしたが)

今作は、その3本に、オリジナルの二編を加えたSF小説です。

ドラマ本編と違うのは、ドラマ未登場の、GUYS研修隊員ハルザキ・カナタ。

ドラマ内で起こったことを、そのハルザキ隊員の視点で描がいていることです。

作家は、「パラレルワールド」であると言っています。

「アンデレス・ホリゾント」とは、ドイツ語で、「異空間の境界線」といった、

意味があるようです(カタリーナさん、御教示ありがとうございました)
 [訂正]1月20日、カタリーナさんからせっかく御教示いただい言葉を
  きちんと反映させてなかったので、訂正しました。(カタリーナ様、大変失礼いたしました)

地球から宇宙人は出て行くべきだ。もちろん、ウルトラマンも。

宇宙人の攻撃で父を失ったハルザキ・カナタは、宇宙人に憎しみを持ち、
GUYSに入隊する。

現在の戦闘部隊は、素人の集まりだ。研修を積んだ僕たち世代が、

早く成長して地球を守らなければ。

実地研修を受けるためGUYSjapanにやって来たハルザキ隊員。

基地入口に迎えに来た優しいまなざしの先輩、ヒビノ・ミライ隊員。

驚いたことに、ヒビノ隊員の正体は、ウルトラマンメビウスであった。

仲良しグループと揶揄されるGUYSクルーを醒めた目で見るハルザキ隊員。

ドラマ本編に対する批判を盛り込んでいます。

そのハルザキ隊員が唯一、認める先輩は、彼が憎んでいた宇宙人であった。

しかも、初めて間近に見たウルトラマンメビウスは、
敵の攻撃を受けて気絶している(おい・・・)

ドラマ本編では、よく不用意に敵の攻撃を食らっていたな、メビウス(笑)

しかし、起き上がったメビウスと視線が合うと、優しい温もりを感じる。

ヒビノ隊員と同じ優しさ。

出撃する、ハルザキ隊員。何度も敵の上部を攻撃するメビウスに、憤る。

「敵に動きを見切られているじゃないか!なんで同じ攻撃を」

後部席のサコミズ隊長が、話しかける。

「我々の目的は、勝つことじゃない。守ることだ」

ハルザキ隊員は、メビウスが敵のビームから市街地を守っていることに気づく
当初、「素人」と、小バカにしていた先輩たちの、対応力にも驚く。

基地の食堂。名物おばちゃんは、細身のヒビノ隊員には大盛りご飯。

トマトが苦手なクゼ・テッペイ隊員には、トマトてんこ盛り。

ハルザキ隊員には牛乳2パック。小柄で悪かったな。

「あの。辛いんだったら、僕が牛乳、飲んであげようか?」ヒビノ隊員が声をかける。

日ノ出さゆりさんのサーペント星人憑依事件。ハルザキ隊員は思い立ち、

アライソ整備長が動態保存していた、マグマライザーで出撃する。

人類初のメテオールが、マグマライザーとは!
(「セブン暗殺計画」などに、複数回出て来るメカ。量産されてこそ技術という、
アライソ整備長の見解)

事件後、さゆりさんは、相変わらず、牛乳をサービス。

あんたが小柄だから牛乳を出していると思った?あんた、いつも塞いだ顔をしている。

ストレスにはカルシウムがいいんだよ。だから、牛乳を出していたんだよ。

GUYSクルーを母親が入院している病院に案内するハルザキ隊員。

乗船していた観測艇が宇宙人の攻撃を受け行方不明になった事件に
ショックを受け、
過去の記憶に逃げ込むハルザキの母。
今の母親の意識の中にハルザキ・カナタという存在はない。

何故、先輩たちに、母親を紹介する気になったのか、ハルザキ隊員にも分からない。

「ハルザキ君!お母さんが編んでいるもの。あれって、子供の靴下じゃない?」

(ミライ、どこでそんな知識を。本編でも、妙な知識の覚え込み方をしていたけど)

ガラス窓越しに、それを見て、号泣するハルザキ。
そのうち母親と話が出来る日が来るかもしれない。


この小説には、コネタ満載だったドラマ以上に、
ウルトラシリーズのコネタが散りばめられていました。

防衛隊の科学主任教授サカタ博士は、研修生に、
「ウルトラマンにも感情がある」と教えていた(少年時代と髪型が同じだそうだ)

調査部の猛者で、二丁拳銃を使いこなす、ヤマナカ某(ひぃぃぃ!)

アマチュア天文家のフクシン・サブロウ。カジ博士の発明&理論実証。
国連宇宙開拓局が隠ぺいした、ハルザキ・カナタ隊員の父親が巻き込まれた
宇宙船攻撃事件を告発した、
キヨミ・イチジョウ。
ヒビノミライ大喜びの、ZATのラビットパンダ号!
固有名詞を知らべて、コネタを楽しむのは本編と一緒です。

また、本編では時間制限で描かれなかった、ヒビノ隊員の日常も垣間見れます。
(ドラマ本編では、休日に公園で、メロンパンを頬張る親子を見かけ、食べてみたい!と
思ったらしく、とりあえずメロンパン屋の列に並ぶシーンのみ描かれています)

「電車って面白いね。何もしなくても景色が移動するなんて。夕方になって、

帰ろうとしたら、仙台というところにいて。
どうやって戻ればいいのか分からなくなって、

リュウさんに連絡取ったら、『お前は、小学生か!』って、怒られたんだ。

小学生は、みんなこういうことをするもんなの?」(ニコニコ)

・・・あんたが、特別なんだよ(ハルザキ隊員の心のツッコミ)

「ねえ、ニケツって何?」(興味津々)
「知らなくていいです」
(ウルトラマンに、あまり柄のよくない日本語を覚えて欲しくない)

「メロンパンって?(メロンが入ってないのに、メロンパン?)
7000円しか、持っていないけど、買えるかな?」(ドキドキ)

・・・沢山お釣りがきます(汗)

サコミズ隊長が、ヒビノ・ミライを外に出さなかった理由が分かるなあ(^^;)

温か味のあったドラマ本編同様、温かみのあるSF小説、
「アンデレス・ホリゾント」

脚本からノヴェライズされたパートを読むと、不評だった脚本への印象が変わります。

物議を呼んだ「怪獣使いの遺産」の脚本は、
ドラマの設定「ミライ君の正体バレ」を知らされずに
執筆されておりました。
今回の小説版は、その点を補整改善してあり、
宇宙人と接する難しさ。
宇宙人と接する意義を描いた良作になっております。


メテオールという超絶科学技術を手に入れてしまった地球人への
強大な宇宙からの警告という冒頭のエピソード「魔杖の警告」いいです。

ハルザキ隊員の父親が巻き込まれたガーベラ―号事件の顛末を盛り込みながら、

GUYSで研修隊員として過ごす、彼の成長が丁寧に描かれています。

そして、ラスト・エピソード、「幸福の王子」が胸熱です。
宇宙は、悪意と闘争に満ち溢れているが、愛と善意の存在も確かにいる。


ウルトラマンは、いろいろな形容の仕方をされてきた存在です。

神、天使、かぐや姫(短期間で星に帰ってしまう)など。
ウルトラマンと半年間一緒に過ごしたハルザキ隊員は、
彼らウルトラマンを、童話「幸福の王子」になぞらえます。
目の前にいる、同情すべき者たちのために、命を削り、身を削り、
惜しげもなく、わが身の装飾である、真珠やダイアモンドや金箔を与え、
何ら、見返りも称賛も求めない。
たとえ、打ち捨てられ、忘れ去られることになろうとも。
宇宙には、そのような存在もいる。ウルトラマンの他にもいた。

(登場時の盲目的な宇宙人嫌いのハルザキ隊員の
意識の変化の表れでもあります)


そして、別れの日。
当初、軽蔑していた先輩クルーからの餞別に貰った、
バイク用の皮の手袋。みんなで描いたというファイヤーパターン。
この趣味・・・(汗)と、引きながらも直ぐに装着するハルザキ(^^;)
こうして、ハルザキ・カナタの研修隊員の日々が終了します。

ハルザキ・カナタ隊員は、ヒビノ・ミライ隊員から貰った、
マンボウのイラストの年賀状を一生大切に持っているのだろうな。
(注:この年は、猪年でしたが、ミライは、年賀状の概念は理解できても、
さすがに、干支は理解できなかった模様)

この小説を読むと、またドラマ本編を見たくなります。
なんという、∞無限ループ(笑)



本編の放送終了直後に製作された、外伝「アーマンド・ダークネス」には、
同姓同名のハルザキ隊員が、新入クルーとして登場しております。
(小説とは、設定が変わっております)
メビウスとGUYSとの最後の共闘を描いた佳作でしたが。

隊員役の子の演技に関しては・・・優しさを失わないでくれ(爆)





by salieri777 | 2014-11-19 23:21 | 乱読積読文庫