武田軍の足軽大将リューザキ弾正、通称リュー弾♪またの名をカラボリーナ・ドルイスカヤ(爆)最近、草弾師匠という官位(笑)も授かりました☆ 諸国、諸時代、諸かるちゃーを 徒然なるままへめぐります


by リューザキ弾正
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仏革命の土方歳三(^^;)「杖と翼」感想記

f0182920_7201924.jpg  「杖と翼」作:木原敏江
   小学館文庫 全4巻

 (あら、リンクが貼れなかった・・・ ^^;)
ルイ・アントワーヌ・レオン・ド・サン=ジュスト
巧みな弁舌と才知で革命政府の中で活躍し、
死の大天使と呼ばれたが、
ルイ16世の死刑を決定づけた演説で知られる彼が、
何故か、最後の演説を妨害されてから
処刑まで一言も発しなかった、と言う。

Step by Step のカタリーナさんが、この作品を紹介されていて、
猛烈に惹かれ、全4巻、送っていただき(笑)、読まさせていただきました(^^)


(あら、画像が、別の出版社の「杖と翼」だわ!。。。焦)

上記のエピソードで知られる、サン=ジュストを、「レオン」と呼び、慕う女性と
その女性を取り巻く個性的な仲間によって、「恐怖政治」と呼ばれるフランス革命混乱期を
描いております。(革命に、「安定期」なんて、ないのだけれど ^^;)


カタリーナさんも語られているように、フランス革命と幕末は似ていると思います。
そして、敗者は「悪」として語られるのが、歴史の常です。
作者の木原敏江先生は、黄金の24年組と呼ばれる、少女漫画の揺籃期に活躍され、
今でも、執筆を続けられている、数少ない漫画家の一人です。
彼女の作品の初期の読者でしたが、初期中の初期の作品である、「天まであがれ!」は、
新撰組(←作品に合わせて、こう表記しておきます)を取り上げていました。
それ以降、何年かにいっぺん、こうした、「歴史関連」の作品を上梓しております。


フランス革命や日本の幕末動乱に限らず、「政治的刷新」には、流れる血を必要ようです。
むしろ、血が流れないと、「刷新」は成立しないらしい。
大化の改新も、そうでした。
そして、流れる血の多少は問わず、勝者からすれば、「流血はなかったことになる」不思議さ。
(「日本は明治維新という、世界に類を見ない、無血革命を成し遂げた」by某歌手)
大化の改新を取ってみても、蘇我入鹿の暗殺から、本当に律令政治が確立するまでに、
累々と屍が積み重ねられております。
フランス革命も、革命前・革命中・革命後の過程で、多くの命が消え、
「幕末動乱」は、関ヶ原の合戦から始まっており、
「明治維新」(幕軍は「時代瓦解」と呼んでいますが)の後も、多くの血が流れています。


「歴史の弱者、敗者」の声を紡ぐ作品を多く手がけているている、ドジ先生(愛称)ですが、
初期の「天まであがれ!」の史実ほぼ完全無視(^^;)から、
今作では、史実とフィクションの融合が上手く出来ていると思いました。
冷徹で早熟な醒めた少年に、「天才のゆううつね」と、炊きつけた少女は、
革命の立役者に会いに行きますが、革命の実態を知り、
「死の天使」を生み出してしまったことに責任を感じます。
彼女が、フランスに留まり(なんとか^^;)フランス革命の真っ只中を生き抜くことで、
読者に、ルイ16世処刑後のフランス革命を追体験させてくれます。
そして、「一言も発しなかった」クライマックスに至ります。

史実(地方の大虐殺事件、政治抗争、肖像画そっくりの革命家マラーとか。。笑)
フクション(出入国を繰り返すヒロインとか。。フレディ・マーキュリーな革命派エベールとか。。)
これらが、よく混ざり合っており、また、史実の部分をきちんと書いてあるからこそ、
フィクションの部分も薄っぺらになることなく、ヒロインの生き様も、しっかり描けています。


外見的に美貌の自分が庶民受けでないことを心得(爆)、盟友・ロベスピエールを旗頭に、
理想国家に創設に邁進し、そして、理想に躓き、歴史に翻弄され、敗者のレッテルを
張られることになる、サン=ジュスト。
その生き様を、必死に、時には「レオン」に対して絶望しながら、後ろ姿を追う、ヒロイン。
そして、何故、サン=ジュストは、一言も発しなかったのか・・・
作者の、すべてを昇華させる、ストーリー展開に脱帽です。


実は、史実のサン=ジュストは、処刑直前、ギロチンの順番待ちの同胞の一人を抱きしめ、
盟友ロベスピエールに「アデュー」と告げ、断頭台の露と消えたと言われてます。


「杖と翼」読了後に、垣間見た史実の中で、
もし、土方さんが近藤さんと一緒に板橋で斬首になったとしたら、こうだったかもしれない、と、
ふと、思いました。


ちなみに、ペンタッチは変わられていますが・・・
「天まであがれ!」の土方歳三 → 「杖と翼」のサン=ジュストになっております。
それぞれのタイトル由来が登場人物によって物語終盤に語られる形も同じです。

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by salieri777 | 2009-08-28 16:25 | 乱読積読文庫