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武田軍の足軽大将リューザキ弾正、通称リュー弾♪またの名をカラボリーナ・ドルイスカヤ(爆)最近、草弾師匠という官位(笑)も授かりました☆ 諸国、諸時代、諸かるちゃーを 徒然なるままへめぐります


by リューザキ弾正
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「剱岳 点の記」映画&小説、感想記事(ネタバレあり)

「剱岳 点の記」映画&小説、感想記事(ネタバレあり)_f0182920_184212100.jpg
映画「剱岳 点の記」
出演 浅野忠信 香川照之 他
監督 木村大作



大自然に対して謙虚に立ち向かって行った、明治の男たちの熱いドラマなのですが、
見ていたこちらは、冷や汗ものでした。
山に慣れた人を演じるのと、本当に登山しながら山に慣れた人を演じるのとでは、
意味合いが違うと思うのですが、「皆様、よく御無事で(涙)」が最初の感想です。
実際に、録音スタッフの方が、落石事故で怪我、入院されたそうです。
難しい映画製作だったと思いますが、上記以外・・・も、ちょっと事故がありますけど(汗)
決定的な事故が起きずに撮了となって良かったです(泣)
それにしても、剱岳付近の、ざら峠を冬に越えた、戦国武将・佐々成政、スゴイなぁ(誤爆)
佐々成政と愉快な一党、映画でも原作でも言及されております。


明治39年、日露戦争に勝利後、陸軍は今後のために、日本地図の完成を急がせていた。
最後に残った空白地帯である、越中富山・剱岳周辺の地図の作成及び、剱岳登頂が、
陸軍測量部(現・国土地理院)の測量官・柴崎芳太郎(浅野忠信)に命じられた。
しかも、最近結成された、「日本山岳会」より、先に、登頂せよ!との無茶ぶり付き。
彼は、地元の強力(山の先達)の、宇治長次郎(香川照之)にアシストを頼んだ。

歴史的事項、「剱岳の登頂口はどこだ?」
「測量隊と山岳会、どちらが先に山頂にたどり着くか?」この2つのクライマックスを
目指して、映画は原作の重厚さを活かして、良く描写していたと思います。

冒頭に出てくる山の行者(夏八木勲)が柴崎に秘かに伝えた、
「雪を背負って雪の中を歩めという」という言葉が、すべての要となります。
登頂ルートのヒントを表している共に、
「登頂ルートがあるということは、先人が踏破している」
ということも表しております。
苦労して登った果てに見たのは、祠の跡に残された錫杖の頭と鉄の剣。
「初登頂」という、「手柄」にならなかった軍部上層部は落胆の色を隠せません。
しかし、測量隊の苦しみを誰よりも理解し、彼らの果たした「快挙」にエールを
送って讃えたのは、ライバルであった日本山岳会メンバーたちでした。

初登頂でないことが判明し、なおかつ正式に記録されるための道標である、
「三等三角点」を据え付けられず、「点の記」(地図の元になる測量記録)にも、
掲載されることのなかった彼ら柴崎測量隊の労苦。(四等三角点として記録)
しかし、そこで彼らが経験したことは、確かに記録されたと思います。
(ちなみに、剱岳に三等三角点が設置されるのは、2004年になってからです)

柴崎芳太郎さんは、山形県の出身なのですが、
山形県関連のこの人の、この映像が、偶然的に、三等三角点を示しております。
2分30秒ぐらいの、かねたんの左側です!(爆)

コチラ(苦笑) を、よろしかったら・・・





映画本体へのこまかすぎて伝わりにくい(汗)ツッコミを、ひとつふたつ・・・

原作では、山岳会が測量隊に剱岳登頂の快挙を讃える方法が、電報なのですが、
映画では、現地で手旗信号でメッセージを送っております。
ビジュアル的にということでしょうが、手旗信号は・・・
「山、高いじゃん!見えないだろう、フツー」と突っ込めます(汗)

そして、本職はカメラマンである監督が、「本物」に、こだわっているのですが、
そこらここいらで破たんしております。

※終盤近くの、本当の山並みの夕景が70年代の特撮の背景にしか見えない(;_;)
ウソが本物らしく。本物が嘘っぽく。感度の良いカメラが逆に仇になりました。

※吹雪の中、夏八木さん@行者が倒れましたが、
直後の切り替わったシーンで、まったりお茶飲んでる、夏八木さん(爆)
去年の「キヨモリ」並に、編集が変です(;ω;)
夏八木さんを麓におろして、村人が介抱、で、そのご回復し、上記シーンと、
やっぱり、ある程度の描写は必要ですねー。
(この映画を見た後に、「キヨモリ」を見たら、強力役の蛍雪次郎さんが出演されていて、
御苦労なさって・・・と涙が出ました。←違っ!)

※ハリボテに取りつく、俳優の描写はイヤ!なのは、分かりますが、
まさかの、山の頂に登りつめる最後の詰めのシーンがない。
(注:ロケ地である、剱岳山頂付近には、明治にはない補助用具が据えられてます)
浅野さんと香川さんの演技にグッと来た直後に、
彼らが、既に登って山頂から見晴らして涼しい顔(^^;)していたのは、
ちょっと達成感が薄れる感じです。

ツッコミまくりましたが、映画全体としては・・・
寡黙にコツコツと仕事をこなす測量官たちの姿に、彼らに対して最初懐疑的だった、
強力たちが、敬意の念を感じたように、
地道に作業をこなしていく柴崎たちの姿に、彼らの静かな成果と快挙を観客に
届けることに成功していた、と思います。

特典映像を見ると、あやうくキャスト・スタッフが天国に届けられるとこだったんだなぁと、
またもや冷や汗。

香川さん、キレてるし、映像内の松田龍平さん完璧にブラックアウトしてるし、
監督「大丈夫ですかぁ~」浅野「大丈夫な訳ないでしょう!(ブチッ!)」の会話(^^;)
(注:香川さんが再現しております、上記の会話)
頑健な彼らと、山岳会会長役の仲村トオルさんは、まだいいけど(←こら!)
強力役のモロ師岡さんや、蛍雪次郎さんには無茶すぎる!(汗)
でも、大自然映像は雄大で・・・自然は、誰に対しても平等に厳しいのだなと、
つくづく思いました。
by salieri777 | 2013-03-06 23:38 | 映画観劇芸術鑑賞